憲法の誕生の真相に迫る「日本の青空」という映画が最近できたが、なかなか良い作品だという話を数人の知人に 聞いていて、「とりつ おせっ会」設立総会の場で製作協力券も１枚買ったのだが、これまで目にする機会がなかった。 ところが、先日、川崎での上映会で見て感動したので、目黒でもぜひ上映会をしようという知人から、有料試写会の 一覧表が送られてきた。できるだけ早く見たいと思っていた私は、早速、昨４月２０日の台東ミレニアムでの上映会に 出かけてきた。
　 上映時間が約２時間の劇映画である。「現行憲法は占領軍の押し付けだから改憲せねば」と主張する安倍首相 に、真正面から応えた内容になっている。「軍国主義の除去、民主主義と基本的人権の尊重の確立」をめざし大日 本帝国憲法の改正を求めたGHQ（占領軍総司令 部）に対し、時の日本政府は天皇主権を温存し、基本的人権も 民主主義も認めない大日本国憲法の焼き直し版「憲法改正要綱」を提示した。これを拒否して提示した「日本国憲 法草案」は、日本の民間の憲法制定研究団体「憲法研究会（会長・高野岩三郎氏）」が１９４５年１２月２６日に発 表した「憲法草案要綱」を手本にしたものだ。この「憲法草案要綱」を仕上げたのが、当時、在野の憲法研究者だった 鈴木安蔵氏だった。
　 この映画は、鈴木安蔵氏夫妻を中心に戦前から憲法草案要綱をまとめるまでと、日本国憲法が成立するまでの日 本政府代表とGHQ担当者との折衝を、ドラマとして描いている。事実を丁寧に肉付けして描いた脚本は、押し付けがま しさがなく、事実を淡々と提示して爽やかだ。元男闘呼組（ジャニーズ）の一員だった高橋和也が鈴木安蔵を、第１回全 日本国民的美少女コンテストでグランプリをとった藤谷美紀が妻の俊子を演じるという意外な顔あわせだ。しかし、二人と もいささか古めかしい昭和という時代に生きた夫婦像を自然に演じていて、好感が持てた。高野岩三郎役の加藤剛や、 ベテランも多数出演して静かな力演を見せている。「この映画なら誰にでも見てもらえる、上映会ができる」と嬉しい思い で帰ってきた。
　 ５月３日の朝日新聞朝刊は、１２本の社説という「憲法特集」が組まれた。その社会欄・シリーズ「６０歳の憲法と私」 に登場していたのが、高橋和也さんだった。鈴木安蔵をこの映画で演じるまでは、憲法をじっくり読んだことがなかったという 率直な彼のコメントにちょっと感動した。彼はその中で、「僕は俳優だから、色々な人物を演じる中で右にも左にも揺れる。 でも、６人の子どもを持つ父親として、戦争ができる国にはなってほしくない」と述べている。

　 憲法９条を変えたくないという目黒の色々な団体がネットワークして、「日本の青空」の上映会を行う話が始まった。

　 ５月から１１月まで、有料試写会が全国で予定されている。上映会の手引きももらってきた。問い合わせは下記へ。

　共同映画株式会社
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